<われらの会社法26(2021年版:会社って何?民法から見たら?)>ラジオ収録20210420
東洋大学教授 楠元純一郎(商法)
東洋大学講師 根岸謙(民法)
哲学者 松尾欣治
国際関係学者 福留邦浩
編集 レオー
東洋大学の大学院生、学部生のみなさん
会社法を担当します楠元純一郎です。会社法に関するこのラジオ講
義も2年目を迎えました。今回から、商法を一般市民の方々にもよ
りいっそうわかりやすく解説し、そして民法や哲学などの視点から
も多角的にとらえてみたいとの思いから、昨年に引き続き、
哲学者の松尾先生のご出演に加え、新たに同僚の民法学者である根
岸謙先生と私の高校の同窓で国際関係学者の福留邦浩先生にもお時
間の許すかぎり適宜ご出演いただくことになりました。とくに、
会社法を教える際に、その一般法である民法との接点を民法学者は
どのように教えているのか、たいへん興味がありましたので、この
場で確認できるというのは私にとってもたいへんありがたいことだ
と思います。また、法律専門外の学識経験者からも斬新な視点を示
してもらえることがあれば幸いに存じます。まさに、
会社法の民法・哲学との融合に期待しています!
本日のテーマは、「会社って何?民法から見たら?」。
会社は営利・社団・法人である。
営利とは
→会社法上は、対外的活動により利益を追求し、構成員(社員=出
資者=株式会社なら株主)にその利益を分配すること。
→分配の根拠→会社105条2項→剰余金配当請求権、残余財産分
配請求権の全部を与えない旨の定款の定めは無効。
もともと、営利の意味は、収支相償うこと。
社団とは
→人の集合体 →出資者(社員=構成員)が出資をし、社員総会を開催
なぜ、社員は社団の構成員社員は出資をした会社の最終的なリス
クの負担者であることから、社員の会社の実質的な支配権があるべ
きという発想。
※一人会社は潜在的には社団→会社法は会社を社団であるとは定義
しなかった。
→ 同じく人の集合体である民法上の組合とは?
※民法上の組合にはどのようなものがあるか?
民法上の組合は営利か非営利か?→契約次第?
→ 財団とは?
→物の集合体 →寄付者が寄付をし、社員が存在しない。
法人とは
会社は法人とする(会社3条)。
法人って何?→ 自然人以外の人→人には自然人と法人がある。
→権利義務の主体→権利を有し、義務を負う受け皿
法人の特徴
①自然死がない
②法人の名前をもつことができ、登記もできる。
③自然人とは別個の会計(法人名義で銀行口座が作れる!)
④法人の名前で訴えたり、訴えられたりする。
→ 民法では法人についてどのように説明するのか?
私権の享有は出生に始まる(民3条1項)。→私権って何ですか?
会社法上の会社以外の法人→非営利法人(公法人、公益法人、その
他の非営利法人(協同組合、一般社団法人、一般財団法人など))
法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない
(民33条1項)。
共同体(団体)だからといって、常に法人であるわけではない。
→ 例えば、民法上の組合、同窓会(法人格なき社団)。
法人の権利能力→法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約
款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う(
民34条)。
学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営
利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運
営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによ
る(民33条2項)。
Podchaser is the ultimate destination for podcast data, search, and discovery. Learn More